施設受診状況

当めまいメニエール病センターは2006年5月9日に開設しました。10年近くが経過し、改めて集計し直しました。2015年9月末現在で、受診された7,751名の患者さまの内訳を調べると、30,40代が突出して多く、50,60代がこれに続き、次いで20代と70代で、10代と80代は僅少でした。女性の受診者は全世代で男性の約二倍です。多くが他施設で治療を受け、改善しないための受診です。

めまいメニエール病センター、受診者7,751名の年齢分布
(女/男=2.1、2006.5-2015.9)
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病気の内訳をみると、特定のものにかたよっています。もっとも多いのは、良性発作性頭位めまい症を含む浮遊耳石症で、全体の73.9%に達します(「もっとも多いめまいを参照してください)。二番目に多いのはメニエール病で、全体の16.5%を占めます(「多忙やストレスのかかわるめまい」)。つづいて、数はずーっと減りますが、めまいの訴えがなく耳鳴りや難聴のおこる低音障害型感音難聴、起立性低血圧(「女性に多いめまい」)、前庭神経炎、感音難聴・耳鳴が並びます。

浮遊耳石症は、デスクワークや作業が長く、運動をしない人におこる生活習慣病です。原因のはっきりしない軽症めまいを一般にめまい症と呼びますが、かつてのめまい症の大多数が、このカテゴリーであったと推測されます。さらに、良性発作性頭位めまい症の診断基準に合わない多くの症状―耳症状―が、このカテゴリーに入ります。メニエール病や低音障害型感音難聴は、日常生活中のストレスがかかわる病気です。したがって、受診する患者さまの実に94.1%で、病因が日常生活中にある病気といえます。

めまいメニエール病センター、受診者7,751名の疾患内訳
(2006.5-2015.9)
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その他の病気の割合は小さいのですが、さまざまなものがあります。原因が不明で治療方法もない下船病、遅発性内リンパ水腫(「若い世代のめまい」)、突発性難聴、前庭機能低下、中枢障害にともなうめまい、心因性めまい、眼精疲労や脳疲労にともなうめまい、乗り物酔いなどです。近年は、中年以降のめまいでは高い割合で脳画像検査が実施され、脳血管障害など脳病変は早期に診断され、当施設の受診は稀です。以前に比べ、高齢者の受診割合が増加しており、めまいや揺らぎは転倒のきっかけになるので注意が必要です。

当センターの目的は、診断・治療はもちろんですが、症状の原因を理解していただき、再発を予防することです。あわせて、未知の現象を解きあかし、新たな治療を開発する研究活動をつづけてきました。開設以来、すべての患者さまの詳細なデータベース作りをしてきた結果、2016年3月末現在、8,400余名のデータを瞬時に集計、分析することが可能です。これらの研究活動から、@耳症状を生む新たな疾患概念(良性発作性頭位めまい症を含む「浮遊耳石症」)、A一つの病気が突出して多い理由、Bメニエール病の誤診の多い理由、Cメニエール病の成因、D現行のメニエール病治療の無効、E新しいメニエール病治療の統計学的な有効性、F下船病の全体像、が生まれ、判明し、立証されてきました。

これらは、多数の患者さまの体験に学んだ結果です。正に、患者さまの体験こそが臨床の礎であり、教師であることを実感しています。

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