06. 女性に多いめまい

全受診者のうち女性の占める割合は男性の2倍強です。一見、めまいは男性より女性がかかりやすく思えますが、女性の方が健康に敏感で、すぐに受診するためと思われます。今回の集計で、女性が男性よりも多い病気は、下船病45名(男性の6.5倍、「10.常にゆれる」参照)、起立性調節障害134名(低血圧)(同4.36倍)、心因性めまい25名(同4.0倍)、低音障害型感音難聴365名(同1.92倍、「4.多忙がかかわるが、めまいを欠く難聴・耳鳴」の項参照)、前庭機能低下39名(同1.79倍)、メニエール病1,531名(同1.41倍、「3.多忙や心労がかかわるめまい、難聴(メニエール病)」参照)でした。

男女で大差があっても、下船病、心因性めまい、前庭機能低下は、頻度の低い病気です。一方、男女差の少ない病気は、前庭神経炎90名(一側の前庭機能が突然、低下し、はげしい回転性めまいが1週ほどつづく病気で、原因は不明)、遅発性内リンパ水腫50名(小児期に一側聾や高度難聴となり、後年、メニエール病に似ためまい、難聴を反復する)、感音難聴・耳鳴76名、中枢障害45名などでした。以下に項目のない病気のいくつかを紹介します。

起立性調節障害134名の年齢分布

起立性調節障害(低血圧)は1,0607名中134名1.3%にすぎませんが、81.3%が女性です。年齢は20代、30代が頭抜けて多く、この世代までが全体の73.9%をしめ、以降は急激に減少します。症状は浮動性めまい、疲労感、長く立つと気分不快になる、頭痛などです。不眠や短い睡眠で症状が強くなる傾向があります。診断は、外来の血圧検査で簡単に診断できます。仰臥位で10分後に血圧と脈拍を測定し、直後に起立してもらい、起立位で血圧と脈拍を測定します。起立で血圧が大きく低下したり、脈拍が増加すると、本疾患の可能性があります。この際、しばしば起立で気分不快を訴えます。病気というよりも体質的なものですが、ライフスタイルが不活発な場合が多く、体調管理に気をつけ、有酸素運動(少し息の上がる運動)を規則的に実践すると、症状が軽快します。

心因性めまい25名の年齢分布

心因性めまいはごく少数にすぎませんが、女性が80%を占め若い世代が大多数です。心因性難聴(時にヒステリー性難聴と呼ぶ)が実際は聞えているのに、検査をすると聴力が大きく低下するのに似た現象です。バランス機能に異常はなく、検査でも異常がありませんが、頑固にめまいやゆらぎを訴えます。重心動揺記録で、開眼の方が閉眼よりもゆらぎが大きく記録されることもあります。多くの場合、精神科や診療内科に通院していることが多く、医療側の適切な対応が求められます。

更年期の女性は冷や汗やほてり(ホットフラッシュ)、動悸、めまい、イライラ、気分の落ち込み、不眠、肩こり、頭痛など、さまざまな更年期症状を訴えます。当センターにも、更年期の女性は多数受診しますが、最終的に更年期障害がめまいの原因、と診断された例はほとんどありません。しかし、閉経期のホルモンの不安定による動悸やイライラ、不眠が、めまいを強める可能性は十分にあるでしょう。

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